ニレジスト

    

弊社はニレジストの加工経験を多く持っています。ニレジストは、精密機器やポンプやバルブ、ピストンリングなど様々な分野で活用されています。難削材としても知られ、精度よく加工するには経験に基づき工具寿命の管理をしっかり行う必要があります。

切削加工
難削材切削加工
難削材切削加工

ニレジストの性質

ニレジストはニッケルを含む米国で1927年に開発されたオーステナイト系の鋳鉄です。ニッケルを34から36%含み、炭素やクロム、ケイ素やマンガンなどを含む金属材料です。
ニッケルやクロム、ケイ素などの金属の割合によってニレジストはType-5やTypeD-2、TypeD-3など複数の種類に分別されます。
また、ニレジストは片状黒鉛と球状黒鉛の2種の黒鉛形態を有します。Type-5は振動吸収性に優れており、片状黒鉛形態の鋳鉄です。一方でType-Dから始まるニレジストは球状黒鉛形態の鋳鉄です。 一般的に片状黒鉛形態のニレジストに比べて高い強度をもっています。

オーステナイト系の鋳鉄であるニレジストは強靭で延性もあり、熱膨張係数は普通鋳鉄の1/3程の5から6 ppm / ℃と極めて小さい値です。その他にも非磁性や耐食性、耐摩耗性、耐熱性に優れています。また、腐食環境にも強いためニレジスト(Ni-Resist)と名づけられ、化学工業や食品工業、自動車部品、ポンプなど広く使用されているのです。
(ppm:percent per million の略 百万分の1のこと。1ppm=0.0001%)

切削加工品
切削加工品2

ニレジストの活用事例

ニレジスト合金は低熱膨張であり、耐食性、耐熱性、非磁性の特徴を有しており、その特性に合った用途で適切に使用されています。
代表的なニレジスト合金のうち、ニレジストType-5は工作機械や成型機、半導体関連部品に用いられています。ニレジストの中で最も熱膨張率が小さく、寸法の安定性が高いためです。
また、ニレジストType D-2はアルカリ環境下での耐食性、耐摩耗性が高く、800℃までの耐熱性を備えています。ポンプやバルブ、ピストンリングなどは優れた耐食性と靭性、耐摩耗性が必要不可欠だからです。
その他にも、高温環境下で水蒸気に対して耐食性が求められるボイラーやバルブ、900℃もの高温環境下にもさらされるガスタービンや熱処理治具などの部品に対してもニレジストは用いられています。

このようにニレジストは精密機器やポンプ、ピストンリングなど寸法安定性や腐食環境、高温環境と厳しい環境下で求められているのです。

ニレジストが難削材である理由

ニレジストは切削加工性に難点があり難削材です。

ニレジストは黒鉛の形態が片状黒鉛と球状黒鉛の2形態あり、黒鉛の形態によっても削りやすさは変わります。一般的にネズミ鋳鉄のように片状黒鉛を含むと、切り粉が粉砕されるため比較的削りやすいです。一方でダクタイル鋳鉄のように球状黒鉛を含むと材料の強度が上昇し、加工性は悪化します。
またニレジストはオーステナイト系の耐熱鋳鋼です。オーステナイト系の鋳鉄はクロムやニッケルを多く含んでいるため、材料の強度が高まり削りにくい材料です。*4

難削材加工

高強度な材料には高い硬度や強度をもつ比較的高価な切削工具が必要になります。さらに、強度の高い材料を削るため工具の消耗も著しいです。そのため、工具の寿命も短く加工コストが上昇します。
そのうえ加工スピードも低速にする必要があり、切削に長時間かかってしまいます。

このようにニレジスト鋳鉄は高強度の材料のため、加工性が悪く生産性が低い材料です。そのため、高い精度でニレジストを加工するには長年蓄積してきた適切な工具選びや加工条件などのノウハウが欠かせません。

弊社は、ニレジストType-5、ニレジストType-D系などに対して数多くの経験と技術を持っています。ニレジストの加工にお困りの際には、ユニバーサルにお任せください。