マグネシウム

    

弊社はマグネシウムの加工経験を多く持っています。マグネシウムは、軽く、高強度、振動吸収性や寸法安定性などに優れ、航空機、自動車、工具、医療機器、精密機器など様々な分野でその特性が活かされています。しかしながら、発火性が高く安全な取り扱いと加工ノウハウが必要なため、マグネシウムの加工業者も限られています。

マグネシウム合金の切削加工風景
マグネシウム合金の切削風景2
マグネシウム合金の切削風景3

マグネシウムの性質

マグネシウムは実用金属として最も軽量な金属です。マグネシウムの比重は1.7と鉄の7.9と比べると約25%、アルミニウムの2.7では約60%ほどです。実用金属で最軽量のマグネシウムは地球上で8番目に多い元素であり、ほぼ無尽蔵にあります。

マグネシウムの特徴はその軽さだけではありません。軽いながらも比強度(強度 / 比重)は鉄鋼の78(N・m / kg)やアルミニウムの57(N・m / kg、材質63-TS)と比べても133(N・m / kg、材率A231)と優れた特性です。比強度133(N・m / kg)とはチタンとほぼ同等の値でもあり、軽量で高強度であることが見受けられます。

その他にも実用中の金属の中で一番の振動吸収性や衝撃時のくぼみが付きにくいこと、熱伝導性が高く熱伝導、放熱性に優れることや、熱膨張係数が6×10-6 (ppm / ℃)と小さく温度変化による寸法変化が小さいなど数々のメリットがあげられます。また、少ないエネルギーでリサイクルできる優れた金属でもあります。

このようにマグネシウムは軽量かつ高強度の特性を持つだけではなく、振動吸収性や温度変化による寸法安定性、切削性を兼ね備えた金属です。

比較検討されやすいマグネシウムとアルミニウム

性能要因マグネシウム部品アルミニウム部品
比重1.742.7
引張強度 (MPa)150 - 350150 - 500
耐食性中程度
耐摩耗性中程度
熱伝導性 (W/m·K)
融点 (℃)650660
加工性中程度
難燃性中程度
塑性
磁性非磁性非磁性
コスト中程度低 - 中程度
マグネシウム合金の切削加工1
マグネシウム合金の切削加工2
マグネシウム合金の切削風景3

マグネシウムの活用事例

軽く、高強度、振動吸収性や寸法安定性と優れた特性を持つマグネシウムは工業利用に欠かせない金属です。製品に用いる場合、マグネシウムはアルミニウムや亜鉛などを加えたマグネシウム合金として使用されます。
具体的な使用例では、自動車のステアリングホイールやエンジンブロックなどの部品が挙げられます。これらの分野は軽く高強度である材料が求められているからです。また、マグネシウムは振動を吸収する特徴があるため、走行時の振動を吸収する観点からも高い需要があります。
その他にも、携帯電話やノートパソコン、ミラーレスカメラの筐体に活用されています。樹脂材料よりも衝撃時のくぼみが付きにくく高強度であるためです。さらに、熱伝導性や放熱性にも優れるため、熱に弱い電子部品を守る役割を果たしています。
このようにマグネシウムは材料の性質から自動車、精密機器、民生品などあらゆる分野で用いられています。

弊社では特にロボットアームロボットハンド部品での実績が多数あります。

マグネシウムが難削材である理由

マグネシウムは材料として優れた特性を持っています。さらに切削性は高く、マグネシウムの加工時間を1とすると、鉄は6.3と約1 / 6の加工時間と短いです。

しかし、切削性が高いもののマグネシウムは難削材といわれています。
その理由の1つはマグネシウムが燃焼性を持つからです。塊の状態では発火しにくいですが、切削時に発生する切り粉や切りくずなど発火の危険性があります。粒が細かくなり、表面積が増え酸化しやすくなるためです。そのため、マグネシウムの加工は取り扱いが難しいため十分な注意が必要になります。

マグネシウム合金の切削加工

その他にも、比較的軟質であるため装置の取り付け、締め付け時にマグネシウムが変形しやすく加工精度が悪化しやすいです。

このようにマグネシウムの加工には安全対策が必要不可欠です。そのため、安全に配慮しながら高い精度でマグネシウムを加工するには、長年蓄積してきた適切な工具選びや加工条件などのノウハウが欠かせません。燃焼性の高い材質ですが、弊社では専用の油剤を使用し切屑の管理をすることで安全に加工しています。

弊社は安全性を考慮したマグネシウムの豊富な加工実績があり、マグネシウムの切削加工に関して多くの経験と技術を持っています。マグネシウムの加工はユニバーサルにお任せください。

加工実績のあるマグネシウム合金の特徴と用途

 

 

マグネシウムの加工実績例

合金呼称比重引っ張り強度(Mpa)耐力(Mpa)伸び(%)製品例
AZ311.78250~290165~22016~20パソコン筐体 車椅子部品
AZ801.81340~380250~2707~12車椅子部品 カメラ部品
ZK601.834026011航空機部品 競技用自動車部品 ロボット部品 ホイール
AZ911.811601603ダイカスト向け試作部品

ご依頼が多い部品名

マグネシウム合金関節(Magnesium Alloy Joints): ロボットアームや脚部などの関節部分に、軽量性と強度を両立させるためにマグネシウム合金が採用されることがあります。

ギアボックス(Gearboxes): ロボットの関節にはギアボックスが使用され、その中の一部品やケーシングにマグネシウム合金が使われることがあります。

電子機器ケーシング(Electronic Device Casings): マグネシウム合金は、携帯電話やラップトップなどの電子機器の軽量かつ堅牢なケーシングにも適しています。

その他アルミからの代替部品が多いのが特徴です。

よくいただくご質問 マグネシウム部品の表面処理について

マグネシウムの表面処理は可能です。耐食性を持たせることが主な目的となり。化成処理が一般的です。その他にも硬度を上げたい場合にはアノダイジングが適しています。

  • 化成処理(一番多い処理方法):耐食性+着色が可能
    腐食抵抗を高めるために、化学的な処理を施して保護膜を形成します。この方法は、軽量化を維持しつつ、腐食に対する耐性を向上させるのに効果的です。化成処理後に焼き付け塗装をするケースがあります。(着色目的)
  • アノダイジング(陽極酸化処理): 耐食性+硬度、耐摩耗性
    アノダイジングは、表面に酸化マグネシウムの保護層を形成することで、腐食耐性を高める処理です。この層は非常に硬く、耐摩耗性にも優れています。また、色付けが可能なため、外観を改善する効果もあります。
  • 電気めっき:対応可能ですが、あまり使われていません
    銅、ニッケル、クロムなどの金属層を電気的にマグネシウム表面にコーティングします。これにより、腐食耐性と外観を改善できますが、重量が増加することがあります。