スーパーインバー(低膨張合金)

    

弊社はスーパーインバーの加工経験を多く持っています。スーパーインバーは、精密機器や測量尺、望遠鏡の構造部材など様々な分野でその特性が活用されています。難削材としても知られ、精度よく加工するには経験に基づき工具寿命の管理をしっかり行う必要があります。

スーパーインバー切削加工1
スーパーインバー切削加工2
スーパーインバー切削加工3

スーパーインバーの性質

スーパーインバーは鉄、ニッケル(32%)、コバルト(5%)を含むニッケル基合金です。室温付近における熱膨張係数が小さいことから、「超不変鉄」「超不変鋼」「スーパーアンバー」ともよばれます。*3熱膨張係数が小さいと温度変化による寸法変化が少ないため、極微小な寸法変化を気にする製品には重宝されます。例えば、半導体製造装置や光学機器、計測機器にはマイクロメートルやナノメートル単位の誤差が致命的になります。そのため、低い熱膨張係数は精密機器になるほど重要な材料特性です。

温度変化による寸法変化が少ない金属には他にもインバー合金やノビナイトなどがあります。その中でもスーパーインバーはインバー合金よりも1桁低い熱膨張係数です。熱膨張係数は炭素鋼に比べ約1/100、インバー合金に比べても約1/10もの低さになります。例えば、炭素鋼が1℃変化し1mm熱膨張したとすると、インバー合金は0.1mm、スーパーインバーはわずか0.01mmしか熱膨張しません。
そのため使用環境によって発生する装置のわずかなブレを最小限にするために、スーパーインバー合金は使用されています。
一方でスーパーインバー合金は低熱膨張率を有しているものの、ニッケルを30%以上含んでいるため一般的な構造材に比べると柔らかく、機械的な強度はそれほど強くないです。また、250℃以上になると低膨張の特性がなくなり、高温では使用できない制約があります。

(ppm:percent per million の略 百万分の1のこと。1ppm=0.0001%)

スーパーインバー切削加工4
スーパーインバー切削加工5
スーパーインバー切削加工6

スーパーインバーの活用事例

スーパーインバー合金は低膨張係数を持ち、この特性を活かしてわずかな寸法変化さえ嫌う製品に使用されています。

具体的な例は半導体露光装置です。半導体は数マイクロメートル、数ナノメートルの制御をしています。そのため、温度変化による誤差の発生を防ぐ材料が求められているのです。
また測量尺(スケールゲージ)の用途でもスーパーインバー合金は用いられています。測量尺における熱膨張係数は-10℃から50℃の平均として1から2 ppm / ℃の精度が必要です。これを満たす材料として主にスーパーインバー合金が採用されています。*2
その他にもレーザー機器や発電施設の機器、光通信用コネクタなどさまざまな産業においてスーパーインバーは応用されています。

スーパーインバーが難削材である理由

スーパーインバーは切削加工性に難点があり難削材と呼ばれています。

ニッケル基合金であるスーパーインバーの加工が難しい理由は、柔らかく延性であり工具との親和性が高いこと、そして熱伝導性が低いことがあげられます。そのため、精度よく加工するには加工条件を適切に設定し、慎重に加工しなければなりません。

スーパーインバー切削加工7

スーパーインバーは親和性が高いため、切削時に工具に切り粉が溶着しやすいです。そのため工具の先端に付着した切り粉により仕上げ面が悪化し、同時の工具の消耗も著しくなります。また、熱伝導率も低く加工中の熱が冷めにくいです。この熱で切削工具が損傷し消耗しやすくなります。
これらの影響で工具の寿命が極端に短くなり、加工コストや時間がかかってしまいます。

このようにスーパーインバーは加工性が悪い材料です。そのため高い精度でスーパーインバーを加工するには、長年蓄積してきた適切な工具選びや加工条件などのノウハウが欠かせません。

弊社は、スーパーインバーなどに対して数多くの経験と技術を持っています。スーパーインバーの加工はユニバーサルにお任せください。

熱膨張係数の比較表

材 質熱膨張係数( 10-6/K )
M g 合金28~29
A l 合金19~23
砲 金18
ステンレス鋼 ( オーステナイト系 )20
ねずみ鋳鉄11~12
ダクタイル鋳鉄11~12
鋼 11~12
インバー 1~2
ニレジスト D-2 18~19
ニレジスト D-312~13
ニレジスト D-5, T-55~6
ノビナイト CF-52.5~3.5
ノビナイト CD-52.5~3.5
ノビナイト CS-51~2
ノビナイト CN-54~5( 293~673K )
ノビナイト SI-5(スーパーインバー)0 ~1